2008年2月28日木曜日

命紅

チュパカブラを背中からナイフで切り裂き、臓物をとりだした。
「どう?」
「うん、うまそうだよ。」
そいつの言うとおりグロテスクなそれはとてもまずそうだった。
「食べる?」
「うん。」
俺は心臓らしきものを受け取るとそれを即座に捨てた。
「よく食うなあ。」
「食べ盛りだからね。」
勘違いしないでほしいのは俺は食べ盛りではない、という事だ。
「結婚するの?」
「しないよ。」
「俺は恋をしてるからね。」

寒いと思ったら雪が降ってきた。
「雪が降ってきたな。」
「食べ盛りだからね。」
勘違いしないでほしいのは雪は降っていない、という事だ。

「愛してるよ。」
「・・・どうせみんなに言ってるんでしょ。」
「あはは。バレたか。」
バレたかと思ったが、バレてはいないようだ。
勘違いしないで欲しいのはバレている、という事だ。

「そろそろお別れだ。」
「ああ。一生一緒だ。」

そして俺たちは別々の道を歩み始め、一緒に暮らし始めたような気がする。